新盆
彼が帰るとき、
「来週も来るつもりだけど…。」
「うん、お盆だからね、大丈夫。」
コロナ渦中、集合をかけるのはやめたけれど、子供達が新盆に戻ってくるかもしれないとのこと。
「一周忌はどうするの?」
「まだ決めてない」
「早く決めた方が良いよ。お寺の都合もあるから」
「わかった」
2週間程前、彼とこんな会話を交わしていたが、先週末のお泊りの時、日程が決まったと、報告してくれた。
男性は意外と知らないことが多く、ご自身のお母様からつつかれていた様だったが、
「例えコロナ渦でも、一周忌は一周忌。」
私の言葉に押され、決めたそうだ。
よかった。
彼の大切にしてきた人や大切だと思う物は、私にとっても大切にしていきたい。
とはいえ、施設から外出禁止を言い渡されている我が家のお盆はなし かな…。
父の一周忌は、前日から台風の予報が出ており
「何故こんな日に一周忌をやるんだ!」
と親戚に責められ、
全ての準備は整えてあったけれど、(実際には当日晴れだった)一周忌に集まったのは子供達だけだった。皆さんは高齢で、無理に来てほしいとは思わなかったけれど、一周忌は、11ケ月も前に決めた事。他人は、好きな事を言うもの…と勉強させて頂いた。
三周忌は、母が施設に入ったばかりで落ち着かず、父の死後、痴呆の進んだ母をめぐり親戚から色々な事を言われ、疲れてしまいまい、たった一人でお墓参りをしておしまいにした。
そしてコロナ渦の今年、また一人でお墓参りかなぁ。
「生きている人の方が大切ですから…」
父の一周忌の時、私は親戚にはそう言った。家族にとっては、そこまでに相続の問題等、片付けなければならないことがあるので、一周忌とは精神的にも物理的にも1つの区切りになるとは思っている。しかし、実際にはその日を境に何かが変わるとは思えない。
彼に子供達に私のことを打明けたい
そう言われた時に、
【とりあえず一周忌までは待ってほしい】
とお願いした私。後になって、
「僕のことを考えてくれたんだね」
と彼が理解してくれたので、今に繋がっているのだけれど、子供の気持ちとして、
【一周忌終わったからお父さんご自由にどうぞ】
という気持ちになる訳が無い。
彼には
【一周忌過ぎたら告白ではなく!一周忌過ぎてから出逢う!】と補足しておいた。
恐らく一周忌が過ぎたら、彼はまた悩むのだろうな…
私は、彼を信じて待つだけ…。
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